ツツドリ
Oriental Cuckoo   Cuculus saturatus


写真1
2005年5月27日 清里町 普通型 (撮影:たろべえさん)
上面の灰色はやや濃く、腹の縞は普通は太いが、この個体のように細めのものもいる.
写真2
2008年5月23日 北海道空知地方 赤色型♀ (撮影:管理人)
♀には上面が赤褐色で全体に黒い横縞が密に出るタイプがある.
写真3
2010年6月5日 猿払村 ♀? (撮影:Y.T.さん)
一見して普通型の羽色だが、側頸から顔、喉にかけて赤褐色を帯びた中間的な羽色の個体.
「30分ほどの観察の間、一度も鳴かなかった」ということもあり、♀の可能性が高いと思われる.


体長33cm カッコウ(Cuculus canorus)とほぼ同大か、やや小さい
オホーツク圏では夏鳥として渡来し、平地から山地まで幅広く見られる。森林に生息し、草原や河川敷などの開けた空間にはあまり出てこないが、木の梢に止まって鳴くため目にする機会は多い。渡りの際には市街地の公園などでも見られる。カッコウ類の中では最も早く渡来し、例年おおむね5月の連休明けから10日頃に初鳴きが確認される。本種も托卵性で、対象種は主にセンダイムシクイ(Phylloscopus coronatus)だが、北海道中部以北では主としてウグイス(Cettia diphone)に托卵するホトトギス(C.poliocephalus)がいない(まれ)ため、本種がウグイスにも托卵するとされる。
カッコウは上面の灰色が淡く、腹の縞は細い(本種にも写真1のような細めの個体がいるため注意)。虹彩はより淡色。赤色型の存在はまだ確認されていない。幼鳥は全体に褐色みが強く、全体に白っぽい斑が密に出て、喉から胸にかけても本種の赤色型のような細かな縞模様が出る(本種の幼鳥は黒みが強く、斑はそれほど目立たず、喉から胸にかけては黒っぽい。ホトトギスは小さくて腹の縞はより太くて粗く、虹彩はより暗色。鳴き声はややエゾセンニュウ(Locustella fasciolata)に似た“キョッキョッキョキョキョキョ”で、「特許許可局」と聞きなされる。現在のところオホーツク圏ではまれだが、今後増える可能性がある。セグロカッコウ(Indian Cuckoo/C.micropterus/オホーツク圏未記録種)は頭部が暗灰褐色、背からの上面は暗褐色で、頭部と背の間に明らかな色の違いがある。尾は暗褐色で白っぽい斑が並び、先端付近に太い黒帯がある。鳴き声は4音節の“ワ、ワ、ワ、ホー”。柔らかな音質で、最後は音階が下がる。

参考文献
「北海道野鳥図鑑(河井大輔、川崎康弘、島田明英)」亜璃西社 2003
「決定版日本の野鳥590(真木広造、大西敏一)」平凡社 2000
「日本の鳥550山野の鳥(五百沢日丸、山形則男、吉野俊幸)」文一総合出版 2000
「Birds of East Asia(Mark Brazil)」Christopher Helm 2009